ただ、この薄さなら読んでみるかという感じで手にしただけであった。
表紙のテイラーの写真も白黒だったが、妙に気になった。
労働者であった彼は、
・無駄な時間が多い労働時間
・労働者の怠慢
・労働者をまとめるリーダーの行い
に不満を感じていた。
労働者を取りまとめる地位についた時に、マネジメントが実行されていく。
・労働時間を10時間から8時間
・仕事内容に適任者を選択し、配置する
・仕事内容による、労働と休憩の時間を区別する
これによって
まずは、時間短縮によって、10時間で行っていた仕事より、8時間で行った仕事の方が生産率が上がったのだ。
次に、重労働には、頭のキレルものを配置するのではなく、単純なものを配置するのである。
※重要な点
ここで彼は、ひたすら労働をさせるのではなく、ストップウォッチを手に持ち、一定の感覚で、休憩を入れ、それに従わせる事をしたのだ。
なぜかというと、
疲労の蓄積と、生産率のバランスを計ったのである。
これは、経済用語を用いると
「
損益分岐点」
を探していたのである。
疲労を作りすぎると、もちろん次の日、また次の日と体はどんどん悪い方向へと行くが、一日にちゃんと回復する労働をさせることで、それに伴う労働も生産効率の最大値に持っていくのである。
疲れすぎず、生産効率を維持する。
この均衡点を探して、数値化していたのである。
ここで、彼が否定的に言われる、
「
人間を機械のように扱う」部分が現れるのかもしれない。
もちろん生産効率は高い方が良い。
適任者とは、つまり耐えられる人間であり、働く人間。
になるのだが、テイラーの考えで重要なのが、労働と休憩を定め、それに従わせるのである。
これが結果として、疲れすぎない体を作り、生産効率を維持出来る要因なのだと思う。
決して、ノルマのために働く労働者を作るのではなく、
ノルマへ導く労働をさせるマネジメントを行ったのである。
次に、働くには、対価が求められる。
もちろん、「給料」だ。
これもとても重要である。
彼は、
・ノルマを達成すると、ボーナスを支給。
・重労働になると、その分の手当も支給。
などのインセンティブを与えたのである。
これによって、労働者の生活が一変したという。
時間も短縮した労働を行い、家族との時間や、自分の時間など仕事以外での時間を充実したものにしていったのだ。
労働者の面では、概ねこういうまとめになる。
会社全体のマネジメントでは、
彼は、より地位を上げていき、自分のマネジメントを会社全体で行っていった。
全体を一気に巻き込むのではなく、一人一人、マネジメントしていき、自分の考えを浸透させていった。
それが三分の一になってきたとき、彼はこういっている。
「三分の一以上、浸透させることができれば、あとは自然に歯車が回っていく」
と、自分もやってみようと、他の人が真似をしていくようになるのだと言っていた。
一気に巻き込めば、反発をくらうのが目に見えている。
それをあらかじめ踏まえて、行い、成功している。
すごい!
と読みながら一人感動していた。
結果、彼がマネジメントした会社は名が広まり、育てた労働者は別の所へ引き抜きにあったが、ほとんどが戻ってきたのだという。給料も高かったが、仕事の内容が続かないのだと、口々に言っているというところを読むと。
彼のマネジメントが実に持続的かつ効率であったかがわかるのではないかと思う。
いまでも、こんな仕事内容をする所があるだろうか。
ほとんどないだろう。
相変わらず、12時間労働というものを見たり、聞いたりする。
特に、日本人の特徴である、「空気を読む」
これによって、会社に縛られる労働を何度か目にしてきたが、悪い作用の一つだろう。
無駄な時間と無駄な労働、それもタダ働きなのだ。
思わず、
ボランティアで生まれたここの利益はどこに行くのだろうと思ってしまった(笑)
最近、売上が悪いのは、会社の規模が大きくなり、マネジメントが浸透してきていないのだろうと感じた。
それを指摘するもの、探そうとするもの、いろんな要素が欠落してきている。
「働いて給料をもらうだけ」、
そういう部分が、最近の労働という部分には見えている。
「
持続させているものは何か」
もっと、そこを考えるべきである。
ニュージーランドに行ったとき、朝9時頃から働きはじめ、夕方にはみんな、バーやレストランに集まり、会社はもう閉まっているといった感じになっていた。
こんな、オンとオフを切り替える事が出来るのはとても大切なことだと感じた。
テイラーの、オンとオフによって、労働時間内での休憩の取り入れるようにした部分は、
これが、大きく「損益分岐点」を上げたのだと思いました。
いまや、日本の損益分岐点は、バブルのままだ、
いつまでも雲の上に立っている。
雲を作り上げる要因は、日に日に変わっていく。
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